神奈川県中国帰国者自立研修センターのあゆみ 1988~2009

 1972年日本と中国の国交が回復し、戦後中国(主に東北地方)に残留していた日本人の帰国への道が拓かれました。彼らの多くは終戦時幼い子供であったため、さまざまな理由で肉親とともに日本へ帰ることができず、中国の養父母に育てられました。1980年代多数の中国帰国者が祖国の土を踏みました。

 私たち「中国帰国者自立研修センター」は、神奈川県に定住したこれらの人々に「日本語を学び、日本の生活・労働習慣を知り日本の社会で自立した生活を営む」ことができるようにという国の方針で開設されました。
厚生省(当時)からの委託を受け、神奈川県の指導をいただきながら、1988年から2009年3月まで、約20年にわたり事業を運営してまいりました。

 その間、少数の例外を除き、多くの帰国者が不十分な日本語能力であっても頑張って職を見つけ自立しました。日本語講師、相談員、他スタッフも協力しましたが、何よりも彼らの努力に心からの拍手を送りたいと思います。
 その帰国者たちも60歳を超え多くの人が定年を迎え、残念ながら健康を害している人も少なくありません。また、帰国してくる人も減少し、全国各地の自立研修センターが次々と閉所になり、私たち「神奈川中国帰国者自立研修センター」も2009年3月、閉所することとなりました。

”中国帰国者が今後どのように生きていくのか!我々には何ができるのか?”
大切なことは中国帰国者がこれから老後を迎えて「健康で快適な楽しい日々」を送ることができるかどうかということではないでしょうか。
 私たちはセンター閉所後、「神奈川中国帰国者定住サポートの会」のもとで、引き続き日本語教室、地域交流事業、生活・就労相談等の活動を行ってまいります。

 多数の帰国者(一世とその子や孫たち)が日本語のレベルアップを目指し、また仲間同士の交流を楽しみ、不況の中で生じた様々な生活上の困難を相談するため「サポートの会」に通ってきています。この人たちが「日本に来てよかった」と思えるよう、これからもスタッフ一同力を尽くしたいと思います。 
今後とも皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

2009年5月